海外で人気の「ジャパンディスタイル」とは?家づくりで押さえたいデザインのポイントを解説
2024.08.31
日本のインテリアの特徴
「和室」に代表される日本の伝統的なインテリアスタイルは、無駄をそぎ落とした機能美が特長です。
現代の日本の和室は、茶室の意匠を取り入れた「数寄屋造り」がベースとなっており、禅の影響から生まれた美意識である「侘び寂び」が色濃く反映されています。
侘び寂び
侘び・・・つつましく、質素なもののなかに「趣」を感じる心。不足の美。
寂び・・・孤独や閑寂の中に美を見出すこと。時間の経過によって表れる美しさ。 |
質素でありながら、畳(い草)や障子(和紙)などの自然素材を生かした味わい深さが、和室の大きな魅力です。
家具や寝具の所有数は必要最小限に抑え「使うときだけ出し、必要ないときはしまう」というやり方で、機能性を備えつつもシンプルで美しい空間を実現しています。
また、季節ごとに生け花や掛け軸などの装飾品を変えながら、設(しつら)えを楽しむ文化も、四季がある日本ならではといえるでしょう。
北欧のインテリアの特徴
北欧インテリアは、快適性と機能性を重視した、シンプルで温かみのある雰囲気が特長です。
日照時間が少なく寒い地域で暮らす北欧の人々は、家の中で過ごす時間が長い分、居住空間をより心地良く過ごせるよう、さまざまな工夫をしてきました。
北欧インテリアを語る際に、キーワードになるのが「ヒュッゲ(Hygge)」です。
ヒュッゲ(Hygge)
デンマーク語で「居心地が良い空間」や「楽しい時間」を指す言葉。
北欧の人たちにとって「ヒュッゲ」は単なる言葉やものではなく、その場の雰囲気や空気、経験を表す“価値観”として大切にされている。 |
家族や友人と一緒にホームパーティーを楽しんだり、お気に入りのソファに座って読書をしながらゆったり過ごしたり・・・心が満たされる時間や経験、空間そのものが「ヒュッゲ」です。
ヒュッゲな空間をつくるために、明るさや風通しの良さを大切にしており、自然素材を取り入れ、飽きのこないシンプルなデザインの家具や照明が生み出されてきました。
日本と北欧の共通点
日本の和室と北欧、それぞれのスタイルには次のような共通点があります。
・自然素材の使用
・長く愛用できる家具
・ミニマリズムの精神
・四季を楽しむ暮らし方 |
日本と北欧は森林が多い土地柄で、古くから住宅や家具に木材や自然素材が多用されてきました。
北欧家具と日本の工芸品や伝統家具は、それぞれ職人の匠の技によって生み出されており、長く使い続けられる点が共通しています。
また、北欧の人々には「良いものを長く使う」という精神が息づいており、家具などは長く使えるよう品質の良いものを選び、壊れたら自分たちで修繕し、使い続けます。
こうした北欧のサステナブルな暮らし方は、日本の伝統的な和室にも通じる概念です。
たとえば和室に使われる「障子」や「畳」は、和紙やい草といった自然素材を使用しており、定期的に張り替えを行ないメンテナンスすることで、長く使い続ける工夫が施されています。
遠く離れた場所にある日本と北欧ですが、四季があるところも共通点のひとつ。
地域性や気候を反映し、それぞれアースカラーやグレイッシュな色が長く親しまれてきた背景も、ジャパンディインテリアにつながっているといえるでしょう。
ジャパンディスタイルでは、北欧と日本それぞれの共通点である「機能美」や「自然素材に対するこだわり」「ミニマリズム」などを生かしたインテリアが大きな魅力です。
①色は「アースカラー」や「ニュートラルカラー(無彩色)」を選ぶ
ジャパンディスタイルでは、色の選択がとても重要です。
「アースカラー」や「ニュートラルカラー(無彩色)」でカラーコーディネートしましょう。
「ホワイト」や「ベージュ」などの淡いナチュラルな色を基調に、自然な雰囲気を演出するアースカラーを組み合わせます。
アースカラーとは、大地や植物などの自然をイメージした色です。
たとえば、次のような色が挙げられます。
色 | イメージ |
ブラウン、ベージュ、テラコッタ |
大地(土)、樹木、枯葉 |
テラコッタ |
土、樹木、枯葉 |
カーキ、モスグリーン |
植物 |
ブルー |
海、湖、川、空 |
オフホワイト、グレー |
雲、砂 |
自然界に存在する色の組み合わせなので、落ち着いた色合いで取り入れやすいのが特長です。
ニュートラルカラー(無彩色)とは「黒」や「白」「グレー」のことで、色相と彩度がなく、明度のみがある色をいいます。
ナチュラルな淡い色がメインのジャパンディスタイルでは、ともするとぼんやりとした印象になりがち・・・。
黒などのニュートラルカラーを小物で取り入れることで、空間のアクセントになり、メリハリが生まれます。
ほかにも、色の彩度を落としてくすませた「くすみカラー(グレイッシュ)」なども、ジャパンディスタイルと相性の良いカラーです。